ファッションは徳積み

「信頼残高」という言葉があります。
「7つの習慣」(コヴィー著、Amazonリンク)に出てくる考え方です。
この本を読んだ事のない方向けに簡単に考え方を要約すると、

「信頼」というものを銀行の「残高」に見立てたもの です。
口座に「信頼」を入れることで貯えができますし、
必要に応じてそこから「信頼」を引き出すこともできます。

「礼儀正しい行動、親切、正直、約束を守るなどの行動を通して
信頼残高をつくっていけば、そこに貯えができる。
残高を高めることによって、必要とあらば、
その信頼を何度でも頼りにすることができる。」

とは本書の引用ですが、これが「信頼残高」です。

夫婦関係が悪くなるのはなぜか。


それは信頼残高がゼロになってしまっているからです。
地球上で二人の人間が経験できる最も親密で充実した関係になり得る
夫婦関係においてでさえも・・・関係が悪くなることがあるのです。
それを防ぐためには、継続的な「信頼残高」の「預け入れ」をしなければならない。

と、ここまではほぼ引用ですが、
これが「信頼残高」という考え方の要約です。


僕はこの考え方自体が素晴らしいと思いました。
日本で言うところの「徳」(virtue)に通じるものがありますよね。
「徳」を「積む」行為に近いと思います。
人が見ていないところで徳を積むことによって、
ある時点で、その「徳」が自分に跳ね返ってくることがありますよね。


そしてここでふと頭をよぎったのは、ファッションのことです。


結構な量の服を買い、
毎日違う服を着ていると、時折
「これは誰のためにやっているのか?」
と思うことがあります。

服は自分のために着るのでしょうか?
いや、そうでもないです。だって、完全に「自分のため」だったら、
もっと着心地の良い楽な服(パジャマやジャージ)を買うでしょう。
そしてそれを着たまま一日中を過ごすわけです。

たぶん、自分のためでないのだったら、
誰かのために服を着ているのでしょう。
服について考え、コーディネートを考え抜き、
結論を導き出してそれを着て外へ出かける。

そこには、「信頼残高」の概念が存在していると思ったんです。


街中へ出かけるわけですから、当然
誰かの目で見られます。

誰かに見られるということは、そこに一定の評価が発生します。
「印象」という名の評価です。

かっこいい、オトナ、シュッとしてる、何でもいいですけど
何らかの良い印象を与えれば、信頼残高は上がるわけです。
逆に、悪い印象を与えれば、信頼残高は下がります。


夫婦間ならともかく、街ゆく知らない人に対して
信頼残高上げてどうするの?
という人もいるかもしれません。

でも、個人的には知らない人に対してだからこそ信頼残高を
上げていきたいという思いがあります。

それを象徴するような出来事がこないだありました。


ふだんは滅多に入らない某ハンバーガーチェーンのお店に
訳あって入ることがあったんです。
コーヒーだけ注文して、コーヒーを飲みました。

安さのわりにはなかなか美味しかったので、
そのハンバーガーチェーン、信頼残高アップです。
テッテレー。

しかし。
次の出来事で、信頼残高は一気に下がってしまいました。

隣に座ってきたおじさんが、窓に向かって頬杖をつきながら、
常時舌打ちをしているんです。チェッチェッ。。と。

僕は作業をしていたのですが、
ちょっと集中できなくなってしまったので、
席を外しました。

これは残念ながら、そのおじさんは
僕に対して信頼残高を下げてしまったということになります。
そしてさらに、僕は、そのハンバーガーショップに対して
信頼残高がちょっと下がっちゃったな、と感じたんです。

お店に来るお客さん(知らない舌打ちのおっさん)のおかげで
せっかくコーヒーは美味しいのに、
ハンバーガーショップ自体の信頼残高まで下がってしまう。

知らない人に対して信頼残高を下げると、
そういった「負の連鎖」が発生します。

そして、そういうお客さん(舌打ちおじさん)が来れば来るほど
そのお店の信頼残高は下がっていきますよね。
結果、そのお店には行かなくなっていくわけです。笑


これの逆で、
「正の連鎖」を起こすこともできると思います。

そのハンバーガー店の例で言えば、
そういう客が来なくなるような仕組みを考えるのも良いですが、
それと同時に、信頼残高を上げてくれるような人が
来るような仕組みを考えることはもっと大事でしょう。

ブランドの信頼残高を上げてくれる人が来るようになればいいのです。
そうすれば、自然と人がそれに引き寄せられるように寄ってきます。

服を買うお店を選ぶ基準として
「店から出てくる人がオシャレな店を選べ」と
いう言葉をどこかで聞いたことがありますが、
そういうものだと思うんです。


街ゆく知らない人に対して
どんどんどんどん信頼残高を上げていくっていうことは
一見意味が無いようにも思えます。

でも、コップに水を注いで行ったらいつかあふれ出すように、
信頼残高をどんどん上げていくと、臨界点みたいなところがあって、
いつかあふれ出すようなものだと、個人的には感じています。
で、水が溢れ出したところで、人が吸引されるように集まってくる。

ファッションを研鑽するということは
そういう意味、役割が一つあるのでは。

以上。今日は、
ファッションは、徳積みなのではないか、という話でした。


*これを某カフェで書いている間に、
「今開催されているティーセミナー」
に参加しませんかーと言われました。
書いている内に熱が出ていたのでしょうかね。
それとも信頼残高が上がったのかしら。笑

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