視線の流儀

電車に乗っていると、
だいたい車内にいる6~7割の人は
スマホの方を向いてます。

人が一杯いる車内って、視線の置き場に困りますね。
目と目が合うのってちょっと嫌です。
視線をそらしたくなると思います。
でもそらせない。(人がいっぱい居すぎたら尚更です)

しかし最近は視線の置き場が
ちょっと楽になったと思います。
みんなスマホのほうを向いているからです。
視線の先は、皆スマホ みたいなところがあります。
みんなスマホに心と視線を奪われてます。

ということは、ある意味
相手のことを見やすくなったのではないでしょうか、と思うんです。
「視線」という最大の敵がスマホに奪われたので、
少なくとも、相手の服装は見やすくなりました。

裏を返して言うなら、
「見られる率」も上がっているでしょう。
ファッションは結構注目されてしまうんだと思いますし
ある程度洋服に気を使わないといけない、
ある層の人にとっては「めんどくさいなぁ」と思ってしまうような
時代になってしまったのかもしれません。


もう今から10年以上前のことですが、
イギリスに住んでいたことがあります。

海外に行ったことある人ならおそらく
誰でも気づくことでしょうが
(ひょっとしたら僕だけかもしれませんが)
例えばロンドンで街中を歩くとします。
歩いていると、あることに気がつきます。

びっくりするぐらい、視線が合わないんです。他人と。

向こうから視線を投げてきません。
あまりにも投げてこないので、
こっちから視線を投げても、
完全に無視されました。さみしー。笑

これ、不思議なんですよねー。
「日本人なんか興味ないのかな?」と最初思いましたが
観察を重ねていくうちに、
そうでもないことがわかりました。

見ず知らずの人同士の様子とかを見てると
やっぱり視線は交錯していません。

日本での電車内の例を先ほど挙げましたが、街中でも同じで、
少なくとも日本の都心部では、街中で視線ビームを
「受けずに」歩くのはほぼ不可能でしょう。

日本人は、他人がこっちに近寄ってきたら、
必ず一度は「見る」習性?があります。
「ガンを飛ばす」みたいな言葉がありますが、

そこまで攻撃的ではないにしても、相手に
「じとーっとした」視線を投げます。
日本人はナワバリの意識がとても強いのでしょうかね。

ナワバリアーですよ。

一方で、欧米人はほとんどこっちを見てきません。

何故そうなんでしょうか?
原因はちょっとわかりません。
教育の違いなのか、文化の違いなのか

詳しくはわかりませんが、
いずれにせよ「見ず知らずの他人をジロジロと見るのは
失礼である」的な、いわゆる
「視線の流儀」が自然に身についているようにも思えるんですね。

(欧米人、と言いましたが、
アメリカは行ったことないのでわかりません。
が、多分同じような感じなのかなと推測してます。
アメリカ行った方は教えてください。笑)


僕は彼等の真似をしてみようと思い、
相手の目をほとんど見ないスタイルを試してみました。
相手が近寄ってきても、なるべく相手の目は見ない。
(相手の服や靴は見ますが。笑)

これをやってみて気づいたことがありました。

視線を合わせないことで、何か楽になる部分があるな、と気づいたんです。

というのも、視線を合わせると、その人と
何かが繋がってしまう感じがあるんですね。

相手が何かを奪いにきてるな、と感じる時ってありますよね。
そういう時って、視線を合わせていると、
一気にエネルギーを奪われてしまいます。

だから、視線を合わせる必要がないなら合わせない。
そういうスタイルを欧米人は採用している、ということなのかな?
と最近は思うようになってきました。

これは欧米人が何故欧米流「視線の流儀」を持っているか
ということに関する一つの推測にもなりますね。
何らかの理由で、たまたまそういうスタイルを採用している人が多いのかなと。

一方で、相手をジロジロ見るナワバリアーな日本流スタイルもある意味
日本流「視線の礼儀」ともいえるでしょう。

日本流スタイルか。
欧米流スタイルか。

単にスタイルの違いなので、
どちらが良いということはないのですが

気に入った「視線の流儀」を採用してみるのも
一つの手かなと。


そんなことを思いつつ今日も電車に乗ります。

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